人間関係をすべてリセットしたくなるときは?「リセット癖」について考える
「もう全部やめたい」
「誰とも連絡を取りたくない」
「今の人間関係を一度全部リセットしたい」
人間関係や仕事で疲れているとき、そんな気持ちになることはありませんか。
スマートフォンの連絡先を消したくなったり、SNSを突然やめたくなったり。
仕事も人間関係も、今あるものを全部手放して、新しい場所で一からやり直したくなる。
実際には行動に移さなくても、「全部なくなったら楽なのに」と考えたことがある方もいるかもしれません。
環境を変えることや、つらい人間関係から距離を取ることは、決して悪いことではありません。
その場所から離れることが、自分を守るために必要な場合もあります。
ただ、何かがうまくいかなくなるたびに
「全部なくしたい」
「ゼロからやり直したい」
という気持ちになるのであれば、すぐに結論を出す前に、「今、自分は何に疲れているんだろう」と少し振り返ってみてもよいかもしれません。
「リセット癖」とは?
これまで築いてきた人間関係や環境を突然断ち切り、一からやり直そうとする行動を、一般的に「リセット癖」と表現することがあります。
たとえば
- SNSのアカウントを突然削除する
- 電話番号や連絡先を変える
- 友人や知人との連絡を一斉にやめる
- 周囲にほとんど相談せず仕事を辞める
- これまで所属していた場所から突然離れる
などです。
インターネット上では「人間関係リセット症候群」という言葉が使われることもあります。
ただ、ここで大切なのは、名前をつけることではありません。
「リセットしたくなる自分はおかしい」と決めつける必要もありません。
その気持ちの奥に
「もう疲れた」
「これ以上頑張りたくない」
「失敗した自分を見られたくない」
「一度全部から離れたい」
といった気持ちが隠れていることもあります。
まずは、その気持ちに気づくことから考えてみましょう。
うまくいかなかったとき、自分まで否定していませんか?
何か失敗したとき
「今回はうまくいかなかったな」
と出来事として考えることもできます。
でも
「こんなこともできない自分はダメだ」
「やっぱり自分は何をやってもうまくいかない」
と、自分自身まで否定してしまうことはありませんか。
たとえば、仕事でミスをしたとします。
本来なら
「確認が足りなかった」
「次はこうしてみよう」
と考えることもできます。
それでも、気持ちに余裕がなかったり、失敗することを強く恐れていたりすると、
「ミスをした=仕事ができない自分」
のように感じてしまうことがあります。
そうなると、その場所に居続けることが苦しくなり
「この人たちの前からいなくなりたい」
「全部やり直したい」
と感じることもあります。
もしそんな気持ちになったとしても、「逃げている」とすぐに自分を責めなくていいと思います。
まずは
「私は今、何が一番つらいんだろう」
と考えてみてください。
「全部できるか、全部ダメか」になっていませんか?
何かに一生懸命取り組んでいる方ほど
「ちゃんとやりたい」
「できるなら完璧にやりたい」
と思うことがあります。
それ自体は悪いことではありません。
でも
「全部できなければ失敗」
「うまくいかなければ意味がない」
と考えてしまうと、一つのつまずきがとても大きく感じられることがあります。
仕事でも、「ここまではできた。でもこの部分はできなかった」ではなく、「できなかったから全部ダメ」と感じてしまう。
人間関係でも、「この部分ではわかり合えなかった」ではなく、「わかり合えないなら、もう関わらない」となってしまう。
そんなときは、「全部」という言葉を少しだけ疑ってみてもいいかもしれません。
本当に全部がうまくいかなかったのでしょうか。
本当にすべてをなくしたいのでしょうか。
失敗した自分を見られることがつらい
人からどう思われるかが気になる。
できない自分を見せたくない。
期待に応えられない自分が恥ずかしい。
そんな気持ちを持つこともあると思います。
特に、普段から「しっかりしている人」「仕事ができる人」と思われることが多い方は、失敗した自分を人に見せることがつらく感じられることがあります。
「もうここにはいられない」
「自分のことを知らない場所へ行きたい」
と感じるのは、環境そのものが嫌だからではなく
「失敗した自分を知っている人たちの前にいることがつらい」
という気持ちが関係している場合もあります。
もし思い当たることがあれば
「私は、何を知られるのが怖いんだろう」
と考えてみてください。
失敗した自分も、うまくできない自分も、自分の一部分です。
すぐに受け入れられなくてもかまいません。
「今の私は、失敗した自分を責めているんだな」
と気づくだけでも十分です。
環境を変えたくなること自体は悪いことではない
仕事を辞める。
人間関係から距離を置く。
SNSをやめる。
こうした選択が必要なときもあります。
無理をして苦しい環境に居続ける必要はありません。
ただ、大きな決断をする前に、一つだけ考えてみてほしいことがあります。
「私は、この環境から離れたいのかな」
それとも
「今のつらい気持ちから離れたいのかな」
ということです。
似ているようですが、少し違います。
環境そのものが自分に合っていないのであれば、環境を変えることが必要かもしれません。
でも、疲れ切っていたり、自分を責め続けていたりして、「何もかも嫌だ」と感じている場合には、少し休んだり、誰かに気持ちを話したりすることで、見え方が変わることもあります。
本当に「全部」をリセットしたいのでしょうか
つらいことが続くと、「全部嫌だ」と感じることがあります。
そんなときは、一度「全部」を小さく分けてみてください。
たとえば
「仕事そのものが嫌なのか」
「特定の業務がつらいのか」
「職場の人間関係に疲れているのか」
「一人の相手との関係が苦しいのか」
「ただ、とにかく今は疲れているのか」
一つずつ分けてみると
「全部ではなかったかもしれない」
と気づくことがあります。
人間関係でも同じです。
一人との関係がつらいからといって、すべての人との関係をなくしたいわけではないかもしれません。
「今は少し距離を置きたい人」
「これからも大切にしたい人」
が混ざっていることもあります。
すべてを同じように切り離す必要はないのかもしれません。
「少し距離を置く」という選択もあります
人間関係には
「付き合い続ける」
「完全に縁を切る」
以外にも、いろいろな距離の取り方があります。
- しばらく連絡を控える
- 会う回数を減らす
- SNSだけ少し休む
- 仕事以外では関わらないようにする
- 気持ちが落ち着くまで返事を急がない
完全にゼロにする前に、自分が楽にいられる距離を探してみてもいいと思います。
「もう無理」と感じているときほど、選択肢が二つしかないように見えることがあります。
でも、実際にはその間にもさまざまな選択肢があります。
「全部やめたい」と思ったときに考えてみてほしいこと
もし今
「何もかもやめたい」
「全部リセットしたい」
と感じているなら、すぐに理由を見つけなくても大丈夫です。
少しだけ、自分に問いかけてみてください。
- 最近、一番つらかったことは何だろう
- いつ頃からこんな気持ちになったんだろう
- 本当に手放したいものは何だろう
- できれば残しておきたいものはあるだろうか
- 私は今、疲れていないだろうか
一人で考えていると、すべてが絡まって見えることがあります。
誰かに話してみると
「本当は仕事を辞めたいわけではなかった」
「特定の人との関係に疲れていた」
「ただ少し休みたかった」
と、自分でも気づいていなかった気持ちが見えてくることがあります。
リセットする前に、今の自分を知ってみる
新しい環境に進むことも、ときには必要です。
人間関係を見直すことも、自分を守るために必要なことがあります。
だから、「リセットしたいと思うのは良くない」と考える必要はありません。
ただ、何度も同じようにすべてを手放したくなるときは
「私はどんなときに、この気持ちになるんだろう」
と、自分のパターンに目を向けてみてください。
- 失敗することが怖いのか
- 人からどう思われるかが気になるのか
- 完璧にできない自分を責めているのか
- 本当に今の環境が苦しいのか
- それとも、ただ少し疲れすぎているのか
答えはすぐに出なくてもかまいません。
「全部リセットしたい」という気持ちの奥にあるものを、少しずつ見つけていく。
その時間が、自分にとって本当に必要な選択を考えるきっかけになるかもしれません。
一人ではうまく整理できないときには、誰かに話しながら考えてみる方法もあります。
話していくうちに、「自分は本当はどうしたかったのか」が少しずつ見えてくることもあります。